住まいのお金専門ファイナンシャル・プランナーの有田美津子です。
家計のコロナ対策第4弾は奨学金の返還に困った時の対応です。
家系のコロナ対策3でお伝えした、住宅ローンの返済と同じく、安易に延滞するのが一番まずい対応法です。まずは、返還をのばしてもらったり、減額してもらったりという対応を相談してください。
ここでは、奨学金の8割以上を占める日本学生支援機構(以下JASSO)の返還方法の変更についてお伝えします。
JASSOの奨学金は住民税非課税世帯など要件を満たした一部の人は給付型、といって返還しなくてよいタイプもあります。しかし、原則としては無利子で元金のみを返還する第一種奨学金と、上限3%の利息が付く第二種奨学金の2種類です。
第二種奨学金は貸与終了月の金利が適用されます。たとえば、2020年3月に卒業して貸与が終了した方の金利は、利率固定方式で0.07%、利率見直し方式(変動金利)で0.002%です。返還開始は貸与終了月の7か月後からです。2020年3月卒業の場合、10月から返還が始まります。
返還が始まるまでの猶予はありますが、新型コロナウィルスの影響で、現在新入社員は自宅待機、という会社がほとんどです。雇用を継続できる会社であればよいのですが、収束までの時間によっては、会社自体の存続が難しい、収入が思った様に伸びない、ということも今後発生する可能性があります。
特に一人暮らしで家賃や生活費がかかる場合、思った給与を得られないと返還に困る場合もあるでしょう。その時は、黙って延滞をせず、必ず一定期間返還を休止したり、減額する手続きを行いましょう。
6か月以上延滞が続くと、「個人信用情報センター」というところに延滞の履歴が残り、将来住宅ローンを借りたり、クレジットカードを作ったりができなくなることもあります。
対応できる奨学金の返済方法の変更は以下の3つです。
災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合に、最長120カ月(10年間)返還期限の猶予を願い出ることがでる制度です。(一般猶予)
災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合に、1回の申し出につき12カ月間、最長180カ月(15年間)返還額の減額ができる制度です。
本人の死亡、精神や身体の障害によって働けなくなり返還ができなくなった時の制度です。
免除の基準は相当厳しいものですが、収入が減って厳しくなった場合は一度JASSOのホームページで返還期限猶予や減額返済の対象となる要件を確認しておきましょう。
また、手続きについてもホームページにわかりやすく書いてあります。
指定の提出書、チェックシート、確認書類を準備し、郵送での手続きを行えます。わからないことがあれば、相談窓口に電話をしましょう。
奨学金相談センター(貸与・給付・返還についての相談)
0570-666-301(ナビダイヤル)
土日祝日・年末年始を除いた9:00~20:00
返還に関するお問い合わせのページ
返済期限猶予や減額返還を行ったことは「個人信用情報センター」には登録されません。将来の自分の信用を守るためにも、奨学金の返済が厳しい時は、返還方法の変更を申し出ましょう。
次回はコロナの影響で、家計が急変した学生さんの「緊急採用」「応急採用」についてお伝えします。
また、家計の急変で、家計の見直しや固定費の削減を相談したいという方はオンライン相談を受け付けています。緊急時ということで通常料金の半額で受け付けています。
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※奨学金の「返還」を「返済」と呼ばないのは、自分が借りた奨学金を「リレー口座」からJASSOに返すことで、次の世代の奨学金の元手になる、つまり、お金を次の世代に有効に循環させる、という意味があるからです。奨学金を借りて学んだことを社会で活かし、働いたお金から奨学金を返還することで、今奨学金を借りている子たちの原資となります。コロナの影響を乗り越えるために、今は自宅待機、STAY HOMEで頑張りましょう。